投資環境について
海外資産倶楽部では、各国の基本データに加えて、預金、株式投資、FX、不動産、暗号資産といったさままな投資(投棄)対象についての市場や規制の状況などを纏めています。
各国の投資環境、その第1回はベンチマークともなる日本です。
知っているようで意外に知らないかもしれない日本の投資環境を確認して置くのも良いと思いますよ。
各分野の詳細についてはそれぞれ別の記事で展開して行きます。
日本の基本データ
日本は約1億2,600万人の人口を抱え、経済的に非常に豊かな国として広く知られています。
国民総生産(GDP)では現在も米国、中国に次いで第3位の座にあり、文字通り世界有数の経済大国です。
■国名 日本国
■首都 東京
■人口 1億2593万人*
■面積 37.8万平方km
■GDP 4兆9718億ドル(3位)**
■通貨 円(1ドル≒107円)
* 2019年IMF発表データによる。
**2018年度IMF公開名目GDPデータによる。
外交
日本は日米安全保障条約に国の防衛の基軸を置いており、米国とは強い友好関係を維持しています。
米国の持つ強力な軍事力を頼りにしているため、米国との貿易交渉では不利な立場に陥りやすいという問題も抱えています。
また国連(国際連合)での決定を尊重し支持する姿勢を堅持しており「国連至上主義」ともいわれています。
但し国連は第二次世界大戦後の戦勝国を中心に組まれた組織であるという経緯もあって、加盟国の中で3番目に多い分担金を支払いながら、常任理事国には入れないというジレンマを抱えています。
外交は基本的に全方位外交を展開していますが、中国、韓国、ロシアとは領土問題を抱えており、特に中国は現在尖閣諸島で挑発的な行動を繰り返して政治的緊張が走っています。
また北朝鮮が日本に敵対姿勢を見せており、注意を擁する存在となっています。
通貨
日本の法定通貨「円」は世界の主要通貨の1つとみなされている”強い通貨”で、ドルやユーロと共に「世界の3大通貨」に数えられています。
IMF(国際通貨基金)の国際準備資産を構成する通貨でもあります。
但し2019年の世界の通貨シェアを見ると、3大通貨の中で日本円だけがシェアを落としており、日本円の国際的な影響力低下が懸念されます。
それでも米国や世界経済が大きなショックを受けた時には投資家が日本円を買うという動きが定着しており、「安全通貨」としてのポジションを維持しています。
銀行預金
日本は世界的にみても金利が低い国であり、銀行預金をしても金利は殆ど付きません。
大手都市銀行の預金金利は普通預金で年0.001%、定期預金でも年0.1%しか付きません。
そんな低金利にも関わらず、日本では銀行預金の比率が非常に高いという国際的に見るととても不思議な状況が現実としてあります。
日本銀行が公開している家計の金融資産構成の日・米・欧の比較データ*を見ると、日本では金融資産に占める現金・預金の比率が53.3%となっており、米国(12.9%)や欧州(34.0%)を大幅に上回っています。
日本人が現金好き、預金好きという傾向は確かに見られます。
但し円預金は安全性は高いものの、投資商品としての魅力は希薄なので、資産を増やす目的の投資対象とはなりません。
※日本銀行調査統計局資金循環の日米欧比較(2019.8.29.)
株式投資
日本は株式投資のためのインフラは非常に整備されています。
日本在住者が証券会社に取引のための口座を持つことは容易で、ほとんどの場合手数料も掛かりません。
但し証券口座開設の際には本人確認資料の提出とマイナンバーの登録を求められます。
株式投資で得た利益は配当も含めて分離課税となり、給与所得などとは分けて計算され、規定の税率(原則20%+復興特別税)が掛けられます。
FX
日本円は世界の主要通貨の1つなのでFXでも多くの通貨ペアが取引されています。
特にドル/円は世界的にみても取引量が多い通貨ペアであり、安定的に取引ができます。
また日本は超低金利政策を続けているため、高金利の国の通貨と組み合わせてスワップ(金利)狙いの取引もしやすいという特徴があります。
FXの投資で得た利益も株式投資と同様に分離課税の扱いとなります。
分離課税では給与所得などと利益を分けて計算され、規定の税率(原則20%+復興特別税)が掛けられます。
不動産
日本の不動産は法整備が進んでおり、個人が不動産を取得する際の住宅ローン制度なども充実しています。
加えて住宅ローン金利などの金利は極めて低い金利水準を続けています。
日本は不動産が買いやすい市場ということは言えます。
また外国人が土地付きの不動産を自由に売買できる非常に珍しい国の1つでもありあす。
暗号資産
日本は世界的に見ても暗号資産(仮想通貨)の取引が盛んな国の1つと言えます。
一時は世界の暗号資産取引量の約4割を占めたこともあります。
日本では2017年4月に「改正資金決済法(通称仮想通貨法)」が制定され、世界に先駆けて暗号資産を法的に定義しました。
世界各国が暗号資産に関する法整備を議論している中、日本がいち早く暗号資産を定義したことで、日本が今後の世界の暗号資産業界をリードする立場になるのではとも言われました。
ところがその後の法整備では対応の遅れを指摘されることも少なくなく、日本が暗号資産ビジネスの発展から取り残されてしまうリスクも抱えています。
日本では政府は投資家保護の点では法規制を進めながらも、暗号資産(仮想通貨)の利用普及に関しては厳しい制限をせず、阻害しないという基本スタンスを取っています。
但し現在日本の暗号資産取引所では、金融庁の審査を受けて「ホワイトリスト」に登録されたコインしか事実上取り扱うことができません。
そのため、取扱コインの種類が海外の取引所に比べて極端に少ないという問題があります。
暗号資産の投資家に不利な税制
2020年7月現在、日本では暗号資産取引で得た利益は「雑所得」として扱われます。
雑所得は給与所得などの所得と合算して所得税率が決まられるため、最大で45%+復興特別税という高税率になります。
しかも雑所得で損失が出た場合には、他の所得と相殺して税率が下がるような仕組みはありません。
非常に投資家にとってはかなり不利な税制と言えます。
日本で暗号資産が金融資産として健全な発展をして行くためには、株式投資と同じ様に、他の所得とは収入を分けて個別に税率が決まる「分離課税」方式が導入される必要がありそうです。
外貨準備高
最新の2020年6月末における日本の外貨準備高は約1兆3800億ドル(約147.7兆円)です。
2019年末時点の外貨準備高ランキング*でみると日本(1兆3222億ドル)は中国(3兆2224億ドル)に次いで世界第2位の外貨準備国ということになります。
ただ中国の世界1の外貨準備資産の「実力」に対しては疑問を呈する声もあります。
それに対して日本の外貨準備資産は米国債などの流動性の高い資産であり、実質的には3位のスイス(約8,546億ドル)と並んで最強とも言われています。
但しいざ有事になった時に米国の了解なく大量の米国債を売りに出せるかといった点には不透明さが残ります。
*財務省ホームページデータより
**GLOBAL NOTE統計データより
まとめ
日本は経済的に豊かで、さまざまな投資の環境も整備されています。
日本人であればどの投資に関しても当然障壁はありません。
日本に在住者であれば投資のスタートは日本から始めるのが適当です。
但し日本は少子高齢化、人口の減少という極めて大きな課題を抱えています。
今後も現在のような経済的豊かさを維持できるかどうかは不透明です。
この経済大国で投資の経験を積み、然るべきタイミングで海外投資に打って出ることをおすすめします。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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