【東アジア】中国の投資環境

東南アジア

投資環境について

海外資産倶楽部では、各国の基本データに加えて、預金、株式投資、FX、不動産、暗号資産といったさままな投資(投棄)対象についての市場や規制の状況などを纏めています。
各国の投資環境、今回は世界第2の経済大国・中国です。
世界情勢の中で日増しに存在感を増す中国は、中国共産党の事実上の一党独裁国家ながら、非常にダイナミックに経済が動いている国でもあります。
米国中心の自由主義経済とはまた異なるルールで動く部分も大きいので、仕組みを理解する必要はありますが、市場としては大きな魅力を秘めています。
何と言っても世界最大14億人の人口を持つ国内市場を抱えているので、中国国内でヒットするだけでも大きなインパクトを持つことになります。
ダイナミックな中国の投資環境を確認して置くのも良いと思いますよ。
各分野の詳細についてはそれぞれ別の記事で展開して行きます。

中華人民共和国

中国(中華人民共和国)は世界最大14億の人口と日本の約23倍もの面積の国土を誇る国です。
近年では国民総生産(GDP)でも日本を抜いて14兆4000億ドルと米国次ぐ世界第2位の座に付き、経済大国の地位も手にしています。 1人当りGDPも1万276ドル(約113万円)*に達し、2019年の経済成長率も6.1%と新型コロナ問題の発生までは高い成長を維持していました。

■国名 中華人民共和国
■首都 北京
■人口 13億9538万人(1位)*
■人種 漢民族(約92%)及び55の少数民族
■面積 960万平方km(3位)
■GDP 14兆4000億ドル(2位)*
■通貨 元(1元≒15円***)

*2019年IMF発表データによる。
** 2019年中国国家統計局発表による。
***2020.7.24.EXCHANGE-RATES.ORGレート参照による。

省と直轄地と自治区

中国の地方区分についても触れておきます。
中国本土は東北、華北、華東、中南、西南、西北と大きく6つの中国地理大区に区分されています。
また行政的には、23の省と4つの直轄市(北京市、上海市、重慶市、天津市)、5つの自治区(内モンゴル、広西チワン族、新疆ウイグル、チベット自治区)に分割されています。
更にこれらとは別に香港とマカオが特別行政区に指定されています。
首都であり直轄市でもある北京市は2,154万人の人口(常住人口)を誇る大都市です。

外交

近年中国は、国際社会への影響力を著しく高めています。
習近平国家主席は2013年に「一帯一路」の構想を打ち出しました。
中国〜アジア〜ヨーロッパを陸路と海路で結ぶルートを作り、中国主導で巨大な経済圏を構築しようとするものです。
中国は同時にアジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank:AIIB)の創設を提唱し、各国の参加を募って2015年12月25日にAIIBが発足しました。
中国はAIIBの資金も利用しながら、アジアを中心とする発展途上国のインフラ整備に積極的な投資を行ないました。
同様にアフリカやオセアニア諸国にも巨額の投資を展開しています。

但し中国主導の対外インフラ投資は、実際のインフラ事業を中国企業が請け負うケースが殆どで、人も物資も中国から持ってきて現地にお金が落ちにくいという指摘もあります。
また途上国の返済能力を無視して巨額の資金を貸し付けた結果、債務国側が借金を返せない事態も少なからず発生しています。
スリランカでは中国資本の借款で港を開発したものの、借金減免の変わりに港の99年間の使用権を取られてしまうという事態に陥りました。
こうした展開ばかりではありませんが、中国の資金によって中国の政治的影響力が大きくなっているところも少なくありません。
東南アジアのカンボジアラオスアフリカ諸国などは政治的にも経済的にも中国との関係が深い国となっています。

周辺国との衝突

一方で近年の中国は対外的に衝突する場面も少なくありません。
中国は習近平政権誕生以降、領土拡大への意欲を隠さなくなっています。
ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイなどが領有権を主張する南沙諸島に対して、中国は南シナ海のほぼ全域に権利が及ぶと主張し、南沙諸島に人工島造成を進めています。
最近では2020年6月15日に、長年の国境紛争を抱えるインドとはヒマラヤ高地のギャルワン渓谷で衝突し、数十人の死者が出ています。
日本に対しても日本が実効支配をしている尖閣諸島近くの海域へ100日連続で侵入するなど挑発的な行動が続いています。

米国との対立

中国の拡大姿勢は、世界最大の軍事・経済大国のアメリカとの対立を生み出しています。
貿易摩擦、新型コロナ問題や、香港の人権問題を巡る軋轢なども加わって中国と米国の関係はかつてないほどに悪化しています。
米国との緊張関係が中国への投資の最大の懸念事項と言えるでしょう。

経済

中国の国民総生産(GDP)でも14兆4000億ドルと米国次ぐ世界第2位の座にあり、経済大国の地位も手にしています。

通貨

中国の通貨・人民元(CNY)は2005年7月に、米ドルとの交換レートを固定した固定相場制から管理変動相場制に移行されました。
人民元の相場は中国当局によって多くの制限が課せられ、コントロールされていますが、こうした規制のために人民元は外国為替市場では余り流通しない通貨となっていました。
しかし経済大国となり人民元の国際化を狙う中国としては、国際金融市場での流通を拡大する必要があります。
そこで2010年に、中国本土の人民元取引市場(オンショア市場:CNY)とは別に、中国本土外の人民元取引市場(オフショア市場:CNH)を立ち上げました。
どちらも同じ人民元なのですが、2つの市場では取引ルールや市場参加者が異なるため為替レートが異なります。
多くのFX会社が取り扱う人民元もこのオフショア取引市場の人民元となります。
両市場の特徴は以下の通りです。

オンショア市場(CNY)

・対象 中国本土居住者向けの市場
・規制 中国当局の規制あり
・値幅 日中の値幅制限がある
・金利 スワップポイント無し

 オフショア市場(CNH)

・対象 中国本土外の居住者向け市場
・規制 中国当局の売買規制無し
・値幅 日中の値幅制限無し
・金利 スワップポイントあり

株式投資

中国の株式取引所は、大きく分けて中国本土の「上海証券取引所」「深セン証券取引所」、香港にある「香港証券取引所」の3つの取引所があります。
このうち上海証券取引所と深セン証券取引所には、それぞれA株B株という株式の区分けがあります。
また香港証券取引所の方にも香港株H株レッドチップなどの株式の種類があります。

上海証券取引所

上海証券取引所は中国本土最大の取引所です。
ペトロチャイナ、中国農業銀行などの大企業の銘柄が多いのが特徴です。
A株、B株の区分けがあり、A株は人民元建て、B株はUSドルで取引されています。
中国の代表的な株価指数、上海総合指数の基になっています。

深セン証券取引所

深セン証券取引所は深センに拠点を置く取引所です。
IT、ベンチャー企業の銘柄が多いのが特徴です。
こちらもA株、B株の区分けがあり、A株は人民元建てですが、B株は香港ドルで取引されています。
また深セン証券取引所の銘柄で構成した深セン総合指数が利用されています。

A株とB株

上海証券取引所と深セン証券取引所には、A株、B株という株式の区分けがあります。
A株は中国本土の取引所に上場され、中国A株市場で取引される株式です。
中国A株市場は中国国内の投資家向けの取引市場ですが、2014年11月に制度が変わり一部銘柄に制限付きながら投資ができるようになりました。
B株は上海、深セン両取引所に上場している外貨建て株式のことです。
外国人投資家に向けて創設された取引市場です。
表記は人民元建てですが、取引は外貨建てで行われます。
上海証券取引所は米ドル、深セン証券取引所では香港ドルでの取引となります。

香港証券取引所

香港証券取引所は香港にある取引所で、外国人投資家でもかなり自由に購入できる市場です。
市場の透明性も高く、国際的な基準により近い取引所といえます。
香港証券取引所には、日本の東証一部市場の様な大企業中心の「メインボード」とマザース市場の様な新興企業が多い「GEM」という2つの市場が存在します。
また上場株には、香港株、H株、レッドチップなどの種類があります。
取引は香港ドル建てで行われます。

H株

H株は、中国本土で登記された中国企業が香港取引所に株式を上場したものです。

レッドチップ

レッドチップは、中国本土以外の国で登記された中国資本の企業が香港取引所に株式を上場したものです。

香港株

香港株は、香港や海外の企業が香港取引所に株式を上場しているものです。

中国株のメリット

中国株は値動きが大きく、上手く流れを掴めば大きな利益を手に入れることができます。
中国経済自体が新型コロナ問題の前まではほぼ一環して高い成長を遂げていた市場でもあり、投資先としての魅力は充分にあると言えます。
加えて中国企業の配当は日本よりも高い傾向にあり、長期投資も考えることができます。
新型コロナの影響や中国経済の見通しに注意は必要ですが、有力な投資対象として考えるkとはできるでしょう。

日本でも買えます

中国株は日本でも取り扱いをしている証券会社がいくつかあります。
主な証券会社としては

●SBI証券
●楽天証券
●マネックス証券
●アイザワ証券

などが挙げられます。
これらの証券会社であれば、日本に居ながら日本円で中国株の取引をすることが可能です。

FX

人民元/円の通貨ペアは日本でも比較的マイナーな通貨ペアではありますが、いくつかのFX会社では人民元/円を取り扱っています。
また中国は比較的金利の高い国であり、人民元/円スワップポイントを狙う投資も考えられます。
人民元/円を取り扱っている主なFX会社としては

・SBI FXトレード
・外為どっとコム
・楽天証券
・マネックス証券

などです。

不動産

中国は世界的にみても不動産投資が盛んな国の1つで、しばしば国内各地で不動産バブルが発生します。
それでも外国人が中国で不動産を買うことができると考えている人は余りいないと思いますが、実は外国人でも不動産を購入することができます。
不動産の登記もきちんとすることができます。
以前は殆どの都市では外国人は一定期間中国に居住経歴を持たないと不動産を購入できなかったのですが、現在では徐々にそうした規制が緩和されてきています。
但し中国では、国家の判断で強制的に接収されたり、立ち退きを迫られたりするリスクを考える必要はあります。

外貨準備高

中国は2019年末時点で3兆1275億ドルという、世界一の外貨準備高を誇っています。 2位日本(1兆2849億ドル)の約2.5倍というとんでもない金額なのですが、その巨額の外貨準備の実態は、通貨危機に対しては脆弱なのではないかという指摘もあります。
中国の外貨準備高には、中国がアフリカや中南米などに対して行っている融資の残高も組み入れているのではないかと各国の専門家から指摘されています。
そうだとすると、通貨危機の様な場面ですぐ通貨防衛に使用することはできない資産ということになります。

暗号資産

中国は2017年までは、世界のビットコイン総取引高の90%を占めるほどの暗号資産(仮想通貨)大国でした。
中国は元々日本とは比較にならないほど個人の投資意欲が盛んな国で、都市部ではごく一般的な市民の間でも、株式投資はもちろん、不動産、骨董品、宝石(ヒスイなど)とさまざまな投資・投機商品が行われています。
暗号資産への投資も例外では無く、日本より早い段階からビットコインが盛り上がりを見せ、暗号資産の市場も急激な拡大を遂げました。
ところがその後、加熱するブームを警戒した中国政府は、暗号資産(仮想通貨)に対して厳しい規制を課す姿勢に転じ、以降は世界的に見ても暗号資産に対する規制が非常に厳しい国へと姿を変えています。
しかしながら中国当局は取引は規制しながらも、ブロックチェーン産業の発展にはむしろ積極的であり、実際中国本土や中国系の優れた暗号資産関連プロジェクトが続々と生まれています。
日本にいてもそうした多くの暗号資産プロジェクトに容易に投資を行なうことができます。

中国の暗号資産環境
各国の暗号資産環境についてコイン資産倶楽部では、各国の暗号資産(仮想通貨)の市場やブロックチェーン・プロジェクトの状況などを纏めています。各国の暗号資産状況、今回は世界最大の人口を持つ大国・中国です。今やGDP(国民総生産)世界第2位の経済

デジタル人民元

中国では欧米諸国に先んじる形で、2014年からデジタル人民元(DCEP)の開発が始まり、発行に向けた準備が進んでいます。
ブロックチェーン技術を盛り上げ、産業振興に繋げて行く方針も打ち出されています。
中国はドルを基軸に回っている世界経済の中で、人民元の弱さを思い知らされてきました。
覇権をも狙う国家の必然として、人民元の国際的な普及を狙っており、デジタル人民元がその大きな武器と言えます。
特に中国との関係の強いアフリカ諸国でのデジタル人民元の展開が進むと予想されています。
中国は国内的にも深刻な偽札の流通問題や資本の海外流出の問題などを抱えており、OBDCへの意欲は強いと見られます。
中国人民銀行(PBOC)は基本設計は既に完了したと発表しており、深セン・蘇州でのテスト運用が予定されています。
国営銀行や大手通信会社とも連携して、中国内外への浸透を進めていこうとしています。
既に都市部を中心にキャッシュレス化が著しく進んでいるだけに、少なくとも中国国内ではデジタル人民元が一気に浸透する可能性が高そうです。

キャッシュレス決済大国

中国では都市部を中心に日本とは比較にならないほどキャッシュレス決済が普及しています。
屋台などでも現金を受け取らないお店は珍しくありません。
中国では偽造紙幣が深刻な社会問題となっており、銀行でも店舗でも受け取った紙幣を確認する光景が日常的に見られます。
キャッシュレス決済にすることで店側も客側も偽札(偽コイン)を掴まされるリスクが無くなるというメリットが生まれ、キャッシュレス決済が急速に進んだと言われています。
既にキャッシュレス決済が広く社会に浸透していることで、デジタル人民元も他の国より受け入れられやすい土壌があります。
中国銀行などの国営銀行や大手通信会社とも連携してデジタル人民元の普及を目指すとしています。
またデジタル人民元は中国国内のみならず、国際金融の新たな基軸通貨として普及していく可能性があり、欧米各国はその動向に危機感を募らせています。

まとめ

中国はとてもダイナミックに経済が動いている国であり、そこには大きな投資のチャンスがあります。
日本や欧米諸国とは国の体制や投資の制度が違う部分が多いため、よく理解して投資をする必要はありますが、そのギャップが投資では強みにもなります。
中国の事情は中国人の人ほど分かりませんが、多くの中国人の投資家は国際的な情報を充分に持てていません。
それでいて国際知識を持つ外国人の投資家は他の国に比べて少ないのですから、ある意味競争相手が少ない市場と見ることもできます。
中国の将来を見据えて、先回りして投資をすることで大きな成果を得ることができるかも知れません。
是非そうして下さいね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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