【東アジア】韓国の投資環境

東南アジア

投資環境について

海外資産倶楽部では、各国の基本データに加えて、預金、株式投資、FX、不動産、暗号資産といったさままな投資(投棄)対象についての市場や規制の状況などを纏めています。
各国の投資環境、今回は日本のお隣の国・韓国です。
韓国は日本よりITインフラの整備が遥かに進む「IT先進国」であり、国民と投資意欲も旺盛という市場の特性を持っています。
日本にいながら現地の情報を掴みやすいというメリットもあります。
日本人は韓国の状況を国際的に比較しやすく冷静に投資判断をすることができます。
韓国の投資環境を理解して置くのも悪くにと思います。
各分野の詳細についてはそれぞれ別の記事で展開して行きます。

韓国

韓国(大韓民国)は日本の約1/4ほどの国土に約5,164万人の人口を抱える国です。
GDP(国民総生産)ランキングでは日本の3位に対して韓国は10位と差がありますが、2018年のOECD(経済協力開発機構)データによれば、1人当りGDPでは既に日本(4万1501ドル)を上回る4万2135ドル(約463万円)**に達しています。
日本では上の世代に行くほど韓国を経済的に下と考える人が少なからずいすが、数字を見る限り、経済的には並ばれているか追い越されていると考えても良さそうです。
但し経済の先行きにはかなり不透明な部分が多く、今後については厳しい見方をしているアナリストが多いのも確かです。

■国名 大韓民国
■首都 ソウル
■人口 5,164万人(27位)
■人種 韓民族
■面積 10万平方km
■GDP 1兆7,200億ドル(第10位)**
■通貨 ウォン(1ウォン≒0.09円***

*2018年度IMF発表データによる。
** 2018年、IMF発表データによる。
***2020.7.24.EXCHANGE-RATES.ORGレート参照による。

外交

韓国は北朝鮮と現在も戦争状態(休戦中)にあり、軍事的な緊張が続いています。
米国の軍事力に頼りながらも中国にも接近を試みています。
しかしながら米軍の迎撃ミサイルの配備(THAAD)を機に中国側は警戒感を露にしており韓中関係は良好とは言えません。
日本に対しては文大統領が政権を取って以降、反日の姿勢をはっきりと示しており、政治的な日韓関係は悪化しています。

経済成長

韓国は1953年に休戦した朝鮮戦争の直後は世界の最貧国の1つでしたが、60年代後半から80年代にかけて、後に「漢江(ハンガン)の奇跡」と称される著しい経済発展を成し遂げました。
国際通貨基金(IMF)国際復興開発銀行(IBRD)からの30年間で約156億ドルに及ぶ借款を受け、日本からの巨額の経済援助金*を獲得しました。
漢江の奇跡はこれらの資金を基に経済インフラの整備を一気に進めた成果と言えます。
しかしながら、1997年のアジア通貨危機によって韓国は深刻な経済危機に陥ります。
韓国はIMFに対して3年間で約210億ドルの援助を要請しました。
IMFは韓国に対して厳しい財政再建プランの実行を迫りました。
政府は経済回復に向けた企業構造の再編を断行し、一方では国民に対し国家の危機を救うために金の拠出を求める「金集め運動」を実施するなど懸命に財政再建を図りました。
結果、韓国は返済期限より3年早い2001年に返済を完了してIMFの管理から開放されます。

*日本政府は韓国を賠償対象とせず、経済援助金として話を纏めた経緯があります。

株式投資

韓国は韓国取引所(Korea Exchange (KRX))が証券取引所を運営しています。
韓国取引所は韓国証券取引所、韓国先物取引所、コスダックを統合して設立された取引所で、有価証券市場(KOSPI)コスダック(KOSDAQ)の2つの取引市場を持っています。
有価証券市場(KOSPI)は大手企業を中心とした市場で、約770社が上場しています。
KOSPI株価指数は韓国を代表する経済指標として知られています。
コスダック(KOSDAQ)はベンチャー企業を中心とした市場で、約1150社が上場していますが、時価総額ではKOSPIの1/6以下とかなり小さい市場となっています。
韓国の株式は日本でも複数の証券会社が取り扱っており、日本にいながら取引をすることが可能です。
韓国株式を扱っている主な証券会社としては

●SBI証券
●アイザワ証券

などが挙げられます。

通貨

韓国の通貨ウォンは国際的には殆ど流通しておらず、数度の通貨危機を経験しています。
通貨と言う側面から見ると一般的なイメージ以上に経済的リスクの高い国がいくつか存在していますが、韓国もそうした国の1つと言わざるを得ません。
ウォンはあくまで新興国通貨と言う立場で、国際的には流通量も多くありません。
国際基軸通貨で有る米ドルや日本円などと比べると、どうしても通貨としては不安定で他の通貨や国際情勢の影響をまともに受けやすくなります。

外貨準備高

韓国は2019年時点で約4,037億ドルの外貨準備高*を積上げており、世界第9位の外貨準備高を誇っています。
韓国政府もメディアも、しばしばこの外貨準備高を誇らしげに伝えています。
ただがその内訳を見てみると、韓国の外貨準備資産の殆どが有価証券で占められており、まずこの点が、通貨危機が発生した際に準備金に直ぐに充当できるのかと指摘されています。
有価証券が直ぐに換金できないとなれば、韓国が通貨危機の際に実際に利用できるのは非常に少ない金額となってしまうからです。
韓国政府も欧米各国などと通貨スワップ交渉を続けるなど対策を講じていますが、通貨危機に対してどの程度も防衛力があるかについては不確実さを抱えています。

*Global Note 世界の外貨準備高 国別ランキング2019年参照

FX

韓国の通貨ウォンは国際通貨では無いため流通量は少なく、FXでもウォンとの通貨ペアを扱うFX会社は多くはありません。
そででも日本でも複数のFX会社がウォン/円の通貨ペアを扱っています。
ウォン/円を扱っている主な証券会社としては

●SBI FXトレード

などが挙げられます。

不動産

韓国は不動産投資が盛んな国で、特に首都ソウルの不動産は高騰を続けています。
特に文在寅政権になってからの地価高騰は著しく、ソウルの不動産価格は3年間で50%も上がっています。
もはや普通の会社員家庭では家が買えない水準となり、深刻な社会問題となっています。

韓国では1998年に外国人投資促進法が制定され、不動産所得が許可制から申告制へと変更されたことで、外国人の不動産投資に門戸を開かれました。
現在では、韓国の不動産は外国人でも韓国人と殆ど同じ様に購入することが可能です。
日本在住者がに韓国へ不動産を購入する場合には非居住外国人という区分になります。
非居住外国人の場合は主に以下の法律によって規制されています。

●外国人土地法
●外国人投資促進法
●外国為替取引法

また韓国では不動産投資移民制度があり、指定したエリアの基準額以上の不動産に投資を行った外国人にで対してF-2ビザ(長期ビザ)が与えられます。
さらに不動産を保有したまま5年が経つと、永住権を取得することも可能になります。
韓国への移住を考えている人にとっては魅力的な制度です。

暗号資産

韓国は、元々世界的にみても暗号資産(仮想通貨)への投資が盛んな国の1つでした 。
2017年にはビットコインの取引高で世界3位、イーサリアムの取引高で世界1位になるなど
隆盛を極めました。
韓国はIT関連のインフラ整備が進む「IT先進国」として知られていますが、一方では若者の失業率が高く、受験や就職などあるゆる局面で熾烈な競争を強いられる厳しい「競争社会」の国でもあります。
こうした社会背景もあって、韓国では短期間で大きな資産を手にする可能性がある暗号資産取引が高い人気を集めてきました。
韓国の取引所ではビットコインが他国より約20%高値で取引される「コリアプレミアム」が付く程に韓国での取引が過熱していました。

ところが韓国の暗号資産投資の人気が過熱し、暗号資産取引によるトラブルや、取引所のハッキング被害も顕在化します。
暗号資産を材料にした投資詐欺も暗躍して社会問題化するようになると、次第に韓国政府は暗号資産取引を規制する方向に政策を転換させて行きました。
韓国国内でのICOが禁止され、ビットコインの先物取引も禁止されています。
取引所への規制も厳しくなっており、暗号資産取引所は大手4社を除いてウォンの出勤ができないなど難しい状況に置かれています。

まとめ

韓国は経済もダイナミックに動いており、投資対象として候補に上がってくる国です。
日本と距離が近く、さまざまな情報が入ってきやすい点も投資においてはメリットと言えます。
ただ通貨ウォンが国際的には弱く、経済も通貨も国際情勢に振り回されやすいという点は注意が必要です。
政治的な影響を受けやすい点も懸念材料と言えます。
それでも変化の兆しを掴みやすい国とは言えますので、先行きを予測して投資をする相手としては魅力があります。
韓国への投資を考えてみてはいかがでしょうか。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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